2017年7月をもって連載を終了させていただきました。
たくさんの方にご愛読いただきましてありがとうございました。

<薬膳の基本>体質を見よう、陰と陽

  
今日は薬膳の基本の3回目で、陰陽学説について。
ちょっと難しいお話ですが、これがわかると体質のことや体調の状態と
体調に合わせた食材選びや、なりやすい不調がわかるので予防もしやすくなります。

薬膳の基本となる中医学は中国の古代哲学の考え方も取り入れられていて、
その根本となるのが陰陽学説です。

自然界のものは全て陰と陽に属し、
陰陽が変化したり影響し合いながらバランスをとっているという考え方です。

陰陽は対立しながらも、互いがなければ存在することができないため、
相互に依存関係にもあります。

人間も自然界の一部であるので、この陰陽学説の考え方が当てはめられます。

陰と陽は下の表のような感じになっていて、
陽は明るい、軽い、活動的なものを象徴し、
陰は暗く、重く、静かなものを象徴しています。

日の出.jpg

tuki.jpg
◎自然界の陰陽
陽: 天 昼 太陽 明 火 春夏 上 温熱 乾燥
陰: 地 夜 月  暗 水 秋冬 下 涼寒 湿潤 
◎人体の陰陽
陽:男性 体表 上半身 背中 気     働き(機能)
陰:女性 内臓 下半身 腹側 血・津液 組織

一日の中で昼と夜があるように、どちらが良いというのではなく、
どちらも必要なものです。

そして、一日で朝から昼に向かっては陽が増えて陰が減り、
夕方から夜には陰が増えて陽が減るというように
陰と陽ののバランスは常に変動しています。

その変動の中でバランスをとっているのが正常な状態なので
人間の体でも陰陽のバランスのとれた状態が健康な状態と言えます。

体の不調はこの陰陽のバランスが崩れた時に起こり、
例えば、陽が不足すと陰の方が旺盛になるので、(陽虚)
冷えやすくなったり、冷えによる血行不良で肩こり筋肉がこわばったり
月経不順や生理痛が重くなったりします。

冷え症でお腹が弱く、むくみやすいなんていう方はの体質。

逆に陽が強くなって陰を抑えると、熱の症状が出て
頭痛がしたり、イライラしたり、不眠になったりします。

暑がりで血圧が高く便秘がちなんてタイプはまさにの体質。

子供が夕方になると必ず熱を出すなんていう場合は陰が弱まったためと考えられます。
更年期で手足や顔がほてるというのも、陰虚といって、
陰が不足しているためと考えられています。

ざっくり言うと暑がりの人は陰が不足し、冷え性の方は陽が不足していると言えます。

薬膳では熱が多ければ冷やし、冷えていれば温め、
足りないものを補い、余分なものを出して
体のバランスを取り戻して未病を治すというのが基本になっています。

以前こちらでご紹介した食べ物の味や性質も陰陽に分けられます。

<薬膳の基本>食材の五味・五性・帰経

陽:性質=温熱、味=辛・甘・淡
陰:性質=寒涼、味=酸・苦・鹹

冷えやすい方は陽の食材を取り、熱が強い方は
同じ病気でも陰証タイプか陽症タイプかで対策や治療が違うので
どちらかを見極めるのが大切です。

<陰タイプ>

◎お勧めの食材
南瓜、人参、栗、胡桃・餅・黒糖・生姜・長ネギ・香菜・鮭・海老・鰯・太刀魚・鶏肉

◎控えめにしたい食材
トマト・茄子・きゅうり・豆腐・バナナ・蕎麦・小麦製品
(南国のフルーツ全般も)

<陽タイプ>
◎お勧め食材
白菜・大根・セロリ・青菜類・豆腐・豚肉・緑茶・麦茶・粟・黍・蕎麦・小麦、大麦製品
苺・りんご、オレンジ、梨

◎控えめにしたい食材
牛肉・羊肉・ナッツ類・唐辛子、胡椒など辛い系のスパイス類・味の濃いもの

今日も読んでくださってありがとうございました!
よかったらブログの方も遊びにきてくださいね♪

SAI dining* http://ameblo.jp/fani0912/
清水えり

中国政府認定資格である国際中医薬膳師の資格をもつ。身近な食材でおうちで簡単にできる薬膳をモットーに、中医学の理論に基づいてパーソナルな体質に合わせた料理や献立の提案が得意。定期的に料理教室「La Table de Eri」を開催。

ブログ「SAI dining」も好評執筆中。

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