
Update:2009.07.17 tex::Rumiko Igaki photo:ようちゃん
〔インタビュアー(以下イ)〕
ブログを始められて、読者の方とのやり取りが楽しいとおっしゃっていましたが、ブログをアップする際に気を付けていることはございますか?
〔ようちゃんさん(以下よ)〕 プロのシェフやパティシエのレシピって、ものすごく省略して書かれているんですよね。厨房の中でさえ通じればいいので。「粉125g オーブン180℃ 40分」だけ、みたいな(笑)。最初は私もそんなふうに書いていたんですけど、「それじゃ誰にもわからないよ!」と夫に怒られまして…。
今は読む人のことを考えて、混ぜ具合とかタイミングとか、誰にでもわかりやすいよう心がけているんです。編集者さんからは「まだまだ全然ダメ」と言われますが…。
〔イ〕 実際、レシピを見てお料理をする読者のバックグラウンドはさまざまですから、レシピがわかりやすいと「作ってみたいな!」って思いますし、親切ですよね。ところで「ようちゃんのかんたん!スイーツレシピ」には"フライパンで作るお菓子”のコーナーがありますが、レシピ本「フライパンカフェ」をご出版されたいきさつを教えてください。
〔よ〕 「フライパンカフェ」は、自分で企画を立てて出版社に持ち込んだものなんです。主婦と生活社さんに電話して、とんとん拍子に編集者さんに会うことになって。ものすごく緊張してて、途中で帰りたくなりました(笑)。
この企画を思いついたのは、友達の家に遊びに行ったときにお菓子を作ることになって、そんな突然の状況でもパパッと作れるお菓子のレシピ集があったらいいな〜と思ったのがきっかけです。フライパンひとつでパンケーキも塩バターキャラメルもチーズケーキもささっと作れちゃう、そんな気軽さがコンセプトです。
〔イ〕 初めての本の撮影はいかがでしたか?
〔よ〕 もう本当に緊張しっぱなしでしたよ〜。撮影の最初のころ、「ベイクドカステラ」(P.15)のときに、上にのせるホイップクリームが尋常でない大きさになっちゃって(笑)。「金斗雲みたいですね!」とみなさんに笑われてしまいました。なんて言うんでしょうか…アサヒビールの本社ビルの上のオブジェみたいな形でした…。いま思えばそれで場が一気に和んだのでよかったのかなぁ?と思ってますが(笑)。
〔イ〕 そんな撮影秘話が…(笑)。「フライパンカフェ」は、実は簡単! でも、そんな風には見えない…という、お菓子のレシピがたくさん詰まってますね。なにしろ試してみたくなるし、実は簡単!っていうところがとても嬉しいですよね。プライベートなことも少し伺いしたいと思います♪ カフェのデザートメニューの監修やレシピ本の出版と、お忙しそうですが、普段の1日の過ごし方を教えてください。
〔よ〕 朝起きてからはまず、家のこと…掃除や洗濯などをします。それからブランチを食べて午後からメールのチェックやお菓子の試作。そのほかにブログの写真を撮影したり、レシピを書いたり。本を出してからは少し生活が変わってきました。打ち合わせと試作、撮影の時間が増えたので、ちょっと料理研究家っぽくなってきたかなと(笑)。
〔イ〕 では、日常の中で大切にしていることを教えてください。
〔よ〕 出版社勤務の夫は、仕事柄、いつも帰宅時間が遅いのですが、どんなに眠くても今日あったことを話すようにしています。夫にはややイヤがられていますが(笑)。それから睡眠です! どうも眠りが浅いみたいで、1人でいるとちょこちょこ寝ちゃうんですよね…。
〔イ〕 猫みたいですね(笑)。では、お菓子やお料理以外での趣味や好きなことは何ですか?
〔よ〕 旅行に行くのが大好きです。旅先で美味しい現地の料理を食べて、そのレシピを教えてもらうのが好き。フランスやイタリアの田舎のお料理って美味しいですよね。もう少しここに居て、作っているものを見てみたいと思ってしまいます。ただ、地元の方は「じゃがいも切ってワインで煮てるだけよ」って、それが当たり前のことと思って、あまり詳しくは説明してくれなかったりもしますけど(笑)。
それから、ミステリーなど海外小説を読んで、そこに出てくるレシピを作ってみるのも好きです。先日も「チェリー・チーズケーキが演じている」(ジョアン・フルーク著)を読んでいて、大量にマヨネーズを入れるチーズケーキがあって、気になっていたんです。そうしたら相互リンクをしているブロガーさんが実際に作っていらっしゃっていて。私もやってみようとトライしたら、いつもよりコクがある感じで美味しかったんです。文字だけだからこそ、想像して作りたくなっちゃいますね〜。
〔イ〕 物語の中のお料理やレシピってどうしてあんなに美味しそうに見えるんでしょうね! マヨネーズ入りのチーズケーキは確かに味に深みが出て美味しそう。ちょっと、味見が怖いですけど…(笑)。では、最後に今後の夢を教えてください。
〔よ〕 お金と時間があったら、海外の友達の家をまわって、いろんな国の家庭料理を教えてもらいたいです。日本と同じ材料を使っていても、違う調理法、違う食べ方を発見するのが楽しいですし、それを学んでオリジナルのレシピを生み出してみたいって思います。密かな野望としては(笑)、いつかはピエール・エルメさんの「イスパハン」(バラ、ライチ、フランボワーズからなるお菓子)みたいに、ずっと語り継がれるような、新しい組み合わせのお菓子を作ってみたいです。当分難しそうですけどね…。それから、洋書みたいなスタイリングの本を作りたいです。アメリカとかフランスの料理本が大好きなんですよ〜。いつかこんなかっこいい本が作れたらいいなぁ、と思います。でも、もちろんレシピは「かんたん!」で!
寒い冬はアールグレイ風味のホットチョコレートをひと口、いちごが出回る季節はシロップに漬けてソーダ割りに…。
八百屋さんに並ぶごくごく普通の果物から、季節の空気が生き生きと伝わってくるのは、なによりもお菓子が好きで、ブログも仕事も楽しんでいるからなのだと、インタビューをしていて感じました。
インタビュー終了後は、チーズケーキにグレープフルーツのゼリーに、ミニマドレーヌとようちゃんお手製のお菓子で豪華スイーツタイム! 楽しくて美味しい時間を、ありがとうございました。
次回インタビューは8月7日(金)アップ予定。「GO! GO! ベジごはん 料理研究家五十嵐豪の5分でしかない料理レシピ」の五十嵐豪さんです。どうぞお楽しみ!