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レシビブログインタビュー:recipe & life「おいしい暮らし」前・後編  毎月二回更新
第37回目 Farmer's KEIKO農家の台所 Farmer's KEIKOさん 後編
Farmer's KEIKO農家の台所 Farmer's KEIKOさん  へ

2011.02.18up text :rumiko igaki  photo: Farmer's KEIKO


〔インタビュアー(以下イ)〕  後編も引き続き、お話をお伺いしたいと思います。普段の生活ですが、夏の繁忙期はお休みなく、働いていらっしゃるとか…?


〔Farmer's KEIKOさん(以下K)〕  6月から10月までは朝は4時半に起きて、朝ごはんを作って食べて5時半から12時まで収穫など畑仕事をしています。そして昼食を作って、ブログを書いて、また15時過ぎから畑仕事。18時に帰ってきてお風呂に入って、夕食を作って食べたらバタンキューです。3食作って、畑仕事して、ブログを書いて寝るだけです。実質休みは1日もないですね。


〔イ〕  休みなしで半年は大変じゃないですか?


〔K〕  夏の3か月は半休も無いですが、専業農家であれば普通のスケジュールなんです。 でも、1年目は10kgくらい痩せましたよ。過労死するんじゃないかと思うくらい。 始めの頃は炎天下の中で畑仕事をしたり、仕事の加減が分からなかったのもあって。 今は、涼しくなったら外に出て、日中の暑い時間帯は中で出来る作業をするなどコツを得ました。


〔イ〕  そんなに痩せてしまうとは、いかに体力を使う仕事かというのが分かりますね。


〔K〕  はい。でも楽しみもあるんですよ。ビニールハウス栽培ではなく旬の時期の野菜を露地栽培していますので、1月から3月はほとんど野菜が作れないんです。長期連休なんですよ。夏の過酷な時期も、この冬休みがあるから頑張れるんです。


〔イ〕  なるほど。ブログを拝見すると、冬は色んなところへご旅行などもされているようですね。


〔K〕  農家の冬仕事は、時間や手間が掛かるお漬物を作ったり、味噌を作ったり。それから、休みの間に出来なかった掃除や、竹やぶがあるのでその管理をしたりも。そして、気が向いたら旅行に。突然、明日から北海道へ行こうか、なんて出かけたりしています。 とにかく1日中、自由気ままに料理を作ったりして過ごしています。


〔イ〕  農業への転職といい、縦横無尽に自分に素直に行動しているKEIKOさんですが小さい頃はどんなお子さんでしたか?


〔K〕  子どもの頃から好奇心旺盛でしたよ。今まで釣り、花の栽培、籐細工、針金細工、手芸、絵画などなど、色んなことをやりましたが、すぐに飽きてしまいましたね(笑)。続いているのは釣りと花の栽培ですね。でも、今の一番の楽しみは、「スーパーマーケットめぐり」なんです(笑)。


〔イ〕  スーパーマーケットは楽しいですよね。


〔K〕  日本、海外問わず旅行先で必ずスーパーマーケットに行って、地元の野菜や食料品を見ては、楽しんでいます。面白いんですよ。名古屋で「赤みそ」が豪快に陳列されてるのを見てはびっくりしたり、和歌山のスーパーでは「あおりイカ」コーナーがあったり、沖縄のスーパーは豚の顔の皮や手が売ってたいり、韓国では日本語がまったく通じない地元の市場へ行ってお店のおじさんと仲良くなったり…とにかくたまらなく楽しいんです。だから一番の趣味は「スーパーマーケットめぐり」かな?


〔イ〕  ちなみに子どもの頃からお料理を作られていたのでしょうか?



〔K〕  中学生の頃に、母が姉妹と旅行に行ったりする時、「何か作ってお父さんに食べさせて」と3000円を渡されたことが何回かありました。 私はその3000円を握りしめてスーパーへ行って、お肉や野菜など買って、本を一生懸命見て料理を作っていました。父が大喜びで「美味しい、美味しい!」って食べてくれた思い出があります。

今から思えば、3000円はかなり多い金額ですよね。中学生の私が冷蔵庫の余り物をチェックして料理を作るはずもないことを母が見越して1からすべて材料を買わせるため、多い目の金額を渡したのだと思います。 そして、決して美味しいはずもない子どもの私が作った料理を父は「美味しい!」って言ってくれて、料理は誰かを喜ばせることができるものなんだという事を両親から教わったんですね。

そんなところから料理が大好きになって、誰かを喜ばせたいから、自分以外の誰かの為に作りたいと今でも思っているのだと思います。たまに頑張った自分へのご褒美料理というか、お酒のおつまみも作りますよ(笑)。


〔イ〕  近所のおじいさんのお誕生に串揚げパーティーをされたりもしていますね! おじいちゃんも喜んでいたのがブログからも伝わってきます。前編にも少しお話しましたけど、他のお仕事から農業へ転職した1番の理由は何ですか?


〔K〕  最初は、釣りが好きで漁師さんと触れ合って、シンプルな生活や仕事や考えに共感したんです。前半でお話した通り、漁業は難しいので農業の道へ、転職しました。 例えば、何か作るにしても、その部品が要りますよね、でも、野菜は種ひとつで、自分で一から百までやらなければならない。それが実にシンプルで、そして楽しいんです。


〔イ〕  確かに、そうですね。今住んでいらっしゃるところへ住んだいきさつとは?


〔K〕  最初は、県が運営する農業の振興課へ行って、そこから農家さんを尋ねて話を聞いて回り、畑を借りようとしました。でもね、いきなり来た人は畑を借りれないんですよ。 最初の突破口は、地主のおじいさんと仲良くなって小さい所を少し借りて、引っ越して住んで、だんだんと丁寧に畑を使って生活していくうちに広く借りられるようになりました。 村で外からいきなり来たのは私たちが初めてですし、まわりはだいたい兼業農家の方です。 最初はここの村の方からも、農業だけの生活はことごとく無理と言われていましたよ(笑)。


〔イ〕  ところが…無理と言われても、実際には無理ではなかったわけですね。


〔K〕  はい。自分自身で決めた道だから、どんな事があっても諦めないと心に決めていました。


〔イ〕  まさに、前編の「なんくるないさ〜」ですね! では、KEIKOさんが生活の中で大切にしていることは?


〔K〕  1つ目は「出会い」です。出会ったすべての人と自分自身を大事にしたいと思っています。 私も45歳になりますが、働いているとき、旅先で、そしてブログで、色んな人と出会っていました。色んな人と出会うと色んな人の事がわかり、そして自分自身も成長していく気がします。

2つ目は「自分らしく生きること」。 やはり今強く思うのが、自然体でいることが一番自分にとって楽だし幸せだと思うんです。両親はもう70歳を超えていますが、毎日色んなことをして、旅行をしたり映画を見に行ったり、充実した毎日を過ごしています。父なんて私より忙しいんですよ。 両親とも「いつ死んでも後悔しない」そんな風に生きているように思います。 私もやりたいことはやる! そして偽りのない自分でいること。 そんな自分らしさを大切にしています。自分を作らない、イコール自分らしさですね。


KEIKOさんの好きなことをお聞きしたら、サプライズ串揚げパーティーのような、人を喜ばせることが好き、と上司へのサプライズ送別会のエピソードを語ってくださいました。 「昔から誰かの喜んだ顔を見る事が自分にとっての幸せだと感じていたと思います。 今でもサプライズは大好きです」。そんなKEIKOさんの今後の夢はやはり、もてなし好きに通じることのようで…。


〔K〕  大きな夢が1つあるんですよ。 それは、癒しの「農家民宿」を作ることなんです。野菜が大好きな人や自然が好きな人、普段は街に住んでいて田舎で癒されたい人が集まる民宿。 民宿で生計を立てるつもりはないので、私が農業を引退した後に趣味でやりたいです。
何種類もの野菜を栽培して、みんなで収穫して、みんなで料理して。たまにはアウトドアでバーベキューやスモークもして、魚を釣ったり、考えるだけで幸せな気持ちになります。色んな人と交流をしながら、楽しく過ごしたいと思います。それが今世の私の最後の夢です。


農業は自然相手の仕事。自然はウソを付かないし、自分を飾ってもしょうがない。自然と同じようにナチュラルなKEIKOさんは、農業の仕事を選んだとおっしゃってましたが、KEIKOさんが農業に選ばれたような気がしました。
ちなみに出会う人はすべてが印象に残るそうですが…今のご主人とは、長い間親友同士だったそうで友達のまま、結婚しようかと決めて今も友達みたいな仲良しな関係だそうです♪

次回レシピブログインタビューは3月4日更新予定。含み笑いのカフェごはん『syunkon』、山本ゆりさんの登場です。どうぞ、お楽しみに!



Farmer's KEIKOさんのおススメレシピ「我が家の無水肉じゃが」
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