
update 2008.07.04 text : Rumiko Igaki photo : Rumiko Igaki
〔インタビュアー(以下イ)〕 solaさんのお菓子は、みんなでワイワイ食べたくなります。
たとえば初対面の人たちでも、solaさんのレシピを見ながらお菓子を作ったり食べたりしたら仲良くなれそうな… カジュアルでフレンドリーな雰囲気がしますよね。
いつも、どんな風にレシピを考えられますか?
〔solaさん(以下ソ)〕 生協で旬の果物を取り寄せているので、そこからレシピはイメージします。
今食べたら美味しい、旬のものを見切り発車で頼んでみたり。春なら、苺とか金柑が美味しい季節ですよね。
いつも頼んだら翌週に届くので、「こういう風にしたらいいかなぁ」とか、「ああいう風にしたら面白いかなぁ」とか、届く間、じっくり考えます。考える時間も趣味として楽しんで。その中から1番いいものを組み合わせて… 1週間考えても思いつかないものは取り合えずコンポートやジャムにしたりも。
〔イ〕 今まで作った中でのオススメと好きなレシピは?
〔ソ〕 かぼちゃの白玉です。 口に入れた瞬間、白玉が溶けたんです! その記憶が鮮明でした。 それから、メレンゲと卵ドーナツは子供も好きでよく食べています。
自分が作ったものを食べてもらえると、嬉しくて、買ったものにはない愛情が子供に伝わるって信じてるんですけどね…!
〔イ〕 影響を受けたレシピ本などはありますか?
〔ソ〕 いつも、レシピや見せ方で参考にしているのは洋書ですね。
ビジュアルや色が素敵!
食べて、美味しい! の次に来るのがビジュアルなので…。(と、一緒に本を見ながら…)
〔イ〕 かわいいですね〜!
〔ソ〕 かわいいですよね! この、ページを捲っていて、幸せになる見せ方、たとえば色使いだったり。お菓子の配置だったり。いろんな合わせ方を考えています。
私が作るお菓子って基本的には地味なんですよ。ホントに冷蔵庫にあるもので、作る感じなんですよね。だから、下に敷く布の色をちょっとポップにしてみたり、こういう本で勉強しています。
ほんとに、かわいいですよねー。合わせ方ですかね…クロスとか。ちょっと遊び心がある感じが好きなんですよね。
solaさんが取材中入れて下さった、吉祥寺のカレルチャペックで購入したという甘い香りのマロンの紅茶は、チョコレートのようなこくのあるフレーバー。丁寧にサーブされた紅茶のようにsolaさんのお話からはじんわり、深くて、甘い言葉の旋律が紡ぎ出されていきます。
〔イ〕 普段の生活の中でお菓子作りのほかに、大切にしていることは何でしょう?
〔ソ〕 家族と過ごす時間です。
なんでも、家族を1番に考えるようにしてますね。子供が出来てから、すごく人に親切にされることが多くなったんです。それを自分だけで終わらせないで、誰かにしてあげられるように。そう実感して…誰かにも、私がして頂いた親切が出来るように…って思っています。
主人は笑え、笑えって言ってくれる人で、悲しいことがあった時も意識して、楽しく。そう思ってると、だんだんプラス思考になってくるんでしょうね…。
それから、日常的に写真を撮ったり…。最近は特に、写真を撮る楽しさを知って、何でも写真に撮って楽しんでますね。一眼レフを買ってからは更に夢中です。
そう、さっきの話に戻りますが、若い頃は欲張って生きてたんですけど(笑)。
人としてやるべきことをやって、もっと単純に、余計なこと考えないで1日1日をシンプルに生きたいなぁって思います。あんまり、ごちゃごちゃ考えないで…ね。
〔イ〕 そうですよねー、結局、悩んでも悩まなくても流れる時間は一緒なんですよね。
〔ソ〕 そんな風にしてると、自然と誰かに助けてもらったり、無理しなくていいんだなぁ…って。そんなことを考えてたりします。
〔イ〕 たとえば、学校の中だとみんなと同じ方向を向かなきゃいけないような気がしちゃうけど、実は人それぞれでいいんですよね。
〔ソ〕 子供が居る前の3年間、悩み倒して…今思うと必要な時間だった気がします。
縛られてたんだよね、いろんなことにね…。
(と、solaさんのご主人も相槌ちを打ちながら…。取材は、solaさんのご主人とお子さんも一緒にお話をしながら進めていました。)
〔イ〕 では、solaさんの今後ですが…
1度お邪魔させて頂きましたが、イベントも定期的にされたりとか、楽しい活動を続けていく感じでしょうか?
〔ソ〕 はい、あれはですね、3人でやっているのですが…。
お菓子教室の生徒さんとその方のお友達を紹介して頂いて…。いつか1日カフェみたいなものをやってみたいねって話になって。どんどん盛り上がってきて(笑)。
最初はカフェだけやろうと思ってたのですが、小さいお菓子教室もやったらいいんじゃないかって。友達として紹介してもらってそのまま盛り上がって… 私はひらめきだけて生きているようなもので。
お菓子のユニット、「coucouspoon」のメンバーの常岡さんが段取りを立てて決めてくれて、もうひとりの常盤さんが行動派で「じゃあ、私は、あれを揃えてくるよ」ってうまいこと連携が出来ています。
私だけなら終わっちゃう話も気が付いたらスタートしてて、役割が自然に決まっていて。チームワークバツグンなトリオです。
今までどおり1日カフェとお菓子教室をやりつつ、ケータリングもしていけたらと思います。
たとえば、お子さんのお誕生日会のケータリングプロデュースができたら楽しいなぁって思います。お菓子とか器とか…その需要に合わせて…。
〔イ〕 楽しそう! お願いしたい! あ、大人はOKですか?(笑)。
〔ソ〕 大人でも大丈夫ですよ。大人のお誕生日会。
〔イ〕 では、最後にsolaさんの今後の夢は…?
〔ソ〕 私の中で1番基本にあるのは、お菓子教室を続けることですね。
たとえば、ケーキ屋さんだったり、本はその先の人の顔が見えないけど、ケーキ教室ってみんなで一緒に作って食べて、そして、顔が見られてっていうのが楽しいなぁと。
もちろん、本も出していけたらいいなぁって思うんですけど…。
それから、いつか、家族で違う土地へいってお店を出したいなぁって思います。
主人が洋服の仕事をしているので、お菓子とお料理を出すカフェもあり、洋服もあり〜なんていう…。
あまり人にこの話をしたことはないのですが…。
〔イ〕 素敵ですね〜!
〔ソ〕 憧れますね。
何よりも家族が大切、とおっしゃっていたように、突然、家族3人の中にぽんと私が入って、おしゃべりをしていたような、そんなインタビューでした。お気に入りのブランケットに包まれたような柔らかい雰囲気のsolaさんのお宅を後にした時、私もほっこり満たされた気持ちに包まれていました。
次回更新は、連載がスタートして、注目度が高いニーロ・フード・グラフィックスさんたちの登場です! お楽しみに!